千葉市 矯正歯科ライフ
数千万円あるいは億円単位のコンサルティング料を支払うことは、株主や従業員の立場からすれば正しい行動なのでしょうか。
経営者である自分の方針に自信があれば、反対する役員や社員を説得し、それでも納得しない場合には、自分が責任を負うことを明言して自分の意見を貫く。
そういった当然とも思えるリーダーシップが欠如した経営者が多いことは事実なのです。
N自動車という会社があります。
同社が経営危機に陥ったころ、経営企画や各事業部門の企画担当者にはアメリカの経営大学院でMBAを取得してきた社員が数多くいました。
彼らは、当然に、第3章で見た「戦略系コンサルティング・ファーム」が用いるさまざまな「フレームワーク」PPMや7Sなどを知っており、また、「ファクト(事実)ベース」で物事を捉え、論理的に分析することを当然に知っていました。
また、自助努力だけでなく、「外資系コンサルティング・ファーム」を雇って改革に着手したこともあったと言われています。
それでも、N自動車を建て直すことができなかったのです。
その理由として、社内や関連会社との過去のしがらみがあった、というのが通説です。
そして、そうしたものに縛られないC氏が社長に就任して以来、Nは大きく変わり、見事に復活したのです。
第1章で述べたように、ゴーン流の改革に「外資系コンサルティング・ファーム」が関与したことは事実ですが、ゴーン氏の前に行った外部コンサルによる改革が失敗し、ゴーン氏が主導した改革が成功したことは、私たちに日本の企業や団体の弱点を教えてくれます。
日本の社会や組織の最大の病巣は、「リーダーシップの欠如」です。
「戦略」については、社内の検討によって、あるいは、コンサルティング・ファームに委託することによっても、さまざまに立案することができます。
しかし、問題はこれらの「案を実行できるか、否か」にあります。
そして、「実行」は、経営者(リーダー)の最大の仕事であり、経営者にしかできない仕事なのです。
数十年という超長期にわたって同じ組織体に属し、その中から先輩に引き立てられてトップに昇り詰める日本のエスタブリッシユされた組織体では、大会社でも中央官庁でも大学でも、トップはそうやって生まれてきています。
この点で、トップになるまでの聞に多くのしがらみに関与してきたことは事実でしょう。
しかし、そうしたしがらみを振り切り、必要な改革を「実行」できる真のリーダーとなれるのかが、これからの組織の長に問われることになります。
そして、それができないかぎり、日本の企業や組織は、「コンサルティング・ファーム」という外圧に頼るという意味で「コンサル至上主義」から脱却できないのです。
日本の企業や組織の第2の弱点は、「暗黙知をオープンにしない文化」にあります。
「戦略系コンサルティング・ファーム」がプロジェクトを開始して、まず行うことは、社内の徹底したヒアリングです。
日本の工場や営業の現場には、さまざまな問題解決の智恵があります。
本部の戦略が間違っていても、現場がなんとかしてしまうところは、旧日本軍の時代から、私たちの社会の特徴。
得意技の一つです。
そして、その得意技によって、結果として、企業や組織の業績や成果が達成されます。
それにより、本質的な問題が覆い隠され、顕在化しないことが、ますます、本部と現場、あるいは、あるべき姿と現実の議離を拡大していくのです。
現場にはそうした貴重な智恵があるのですが、これが明確な文字や図表になり、幅広く組織全体に知られる、形式知化する、見えることが少ない、というところに私たちの社会や組織の第2の病巣があります。
すなわち、「何となくこうしたら良い」ということがわかっていても、第三者にも理解できるような明確な理屈づけと公開・情報の共有が弱く、個々人の頭の中にとどまっていたり、特定のチーム内でしか共有されていなかったりする。
つまり、「暗黙知」のままで組織に埋もれているのです。
これとは対照的に、第2章で見たように、「マッキンゼー」をはじめとする「コンサルティング・ファーム」は、個々人の知見をデータベース化し共有物にすることに熱心です。
そこでは、他人のために知見を提供することが評価され、そうした行為が報酬にまで影響する仕掛けが、人事制度の中に埋め込まれています。
N暗黙知を個々人に溜め込ませず、それを進んで評価する、オープンな組織文化を目指すアイデアを出し、自分の暗黙知をオープンにした人間を褒め、報いることーこうした「ナレッジ(智恵・経験)のための工夫と仕組みづくりが、私たちの社会や組織に求められているのです。
「外資系コンサルティング・ファーム」の第一号として「ボストン・コンサルティング」が日本に進出してから、2006年でちょうど40年になります。
この間の日本の社会と「コンサルティング・ファーム」との関係を眺めてみると、以下の三つの段階に分かれると考えられます。
また、この段階は、企業や各種団体が、初めて「外資系コンサルティング・ファーム」、とくに、「戦略系コンサルティング・ファーム」というものに触れて以降にたどる段階でもあります。
ここでは、かりに対コンサル発展段階説とでも呼んでおきます。
この説における第一段階は、畏敬する時期です。
コンサルタントの理路整然としたプレゼンテーション、豊富な海外事例、それらに基づくベスト・プラクティスの紹介そうしたものに最初に触れると、「この人たちは何でも知っているのではないか」と思ってしまう時期があります。
とくに、日本の企業が、「ファクト(事実)ベース」や「論理的分析」、「フレームワーク」などに慣れていなかったころは、問題を特定し可視化するだけで、驚きをもって迎えられた時期もあったようです。
そして、「組織運営や経営戦略が上手くいっていないが、何が原因だか判然としない」といった症状を訴える日本の企業や組織に対し、「ファクト(事実)ベースで物事を捉える」、「過去にとらわれず、ロジカル(論理的)に考える」、「解の仮説をまず考え、それを検証する」といった教科書どおりのことを行うだけで、「解」が見つかってしまう。
そういった事例もあったようです。
しかしながら、そのような蜜月の期間は長くは続きません。
第2段階は、限界を知る時期です。
最初は、「すごい」と感心し畏敬したコンサルタントも、その業界のことを深く知っているわけではなく、ベスト・プラクティスなるものも必ずしも自社のケースにぴったり当てはまるものでもないことに、気づく時期です。
この時期になると、奇妙な英語を駆使し、時として顧客の希望を受け入れないコンサルタントに感情的な反発も生まれてきます。
第1章で紹介した「i開発チーム」の雰囲気がまさにこれにあたります。
さらに、先ほどもご紹介したように、「外資系コンサルティング・ファーム」はか鵜飼的運営手法をとっているため、「パートナー」クラスの大物コンサルタントは週一回程度しか姿を見せなくなります。
そうした事情を知らないクライアント(顧客)側からすれば、30代そこそこのマネージャー以下でプロジェクトが運営されることも、批判の対象となるのです。
こうした「戦略系コンサルティング・ファーム」は続きます。
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